パートナーシップ宣誓制度の充実を―誰もが自分らしく生きられるふじさわに

活動報告

全国に広がるパートナー制度

渋谷区と世田谷区で2015年11月、日本で初めての同性に対するパートナーシップ制度が誕生して以来、制度を導入する動きは全国に広がり、現在では278自治体、人口カバー率については68.4%にのぼっています(みんなのパートナーシップ制度調べ)。

藤沢市のパートナーシップ宣誓制度は、2021年4月から始まり、同性・異性を問わず、互いを人生のパートナーとして相互に協力し合いながら継続的な共同生活を行うことを約束した関係のある二人が、両者の自由意思により、互いを人生のパートナーであることを宣誓し、宣誓したことに対して、市が「パートナーシップ宣誓書受領証」等を交付するものです。現在まで市内での宣誓数は48組(そのうち12組は異性カップルのパートナーシップ)となっています。

さらなるパートナー制度の自治体間連携を

神奈川県内では2019年4月1日に横須賀市と小田原市が初めてパートナーシップ制度を導入し、各市町村に広がり、今年7月1日に伊勢原市、秦野市、真鶴町の2市1町で導入されたことにより、33市町村すべてでパートナーシップ制度が実施されています。藤沢市では昨年2月に、茅ヶ崎市、寒川町との間で協定を締結し、宣誓された方の転出入の際の提出書類の省略などを行い、負担軽減が図られていますが、さらなる自治体間連携の拡大を求めました。企画政策部長からは「複数の市と同様の協定の締結に向け、調整を進めている」と答弁がありました。連携の輪が広がることを期待しています。

同性パートナーをもつ職員の不利益解消を

東京都では昨年11月にパートナーシップ宣誓制度を導入するのに合わせ、職員の給与に関する条例を改正し、同性パートナーがいる職員も扶養手当や介護休暇などの支給対象にしました。こうした動きを受け、東京23区の給与制度などを調整する「特別区人事・厚生事務組合」が、職員の扶養手当などについて同性パートナーも配偶者と同等とみなして支給するよう、各区に通知しました。
 藤沢市では結婚祝い金や事故見舞金などについてはパートナーシップ宣誓制度を利用した市職員を対象としていますが、結婚休暇など休業休暇制度の取得については対象外となっています。自治体がセクシュアルマイノリティに対する合理性のない取り扱いを解消していくことは社会全体で取り組んでいかなければいけない課題です。市職員がパートナーシップ宣誓制度を利用し、宣誓を行った場合には休暇、休業等の制度についても対象とするよう求めました。総務部長からは「休暇の取得要件などの課題整理を行い、国・県・他市の状況も踏まえて、制度の拡充に向けて検討していきたい」と答弁がありました。県内では横須賀市、大和市が結婚休暇を対象にしており、東京都内の自治体に比べて遅れていますが、制度の拡充が進むよう引き続き取り組んでいきたいと思います。

ファミリーシップ制度への充実を

パートナーシップ制度は近年では同性パートナーだけでなく、パートナーの子どもも家族とみなすようなファミリーシップ制度など、より多様な家族の形に応える制度が増え、全国では43自治体で実施されてきています(みんなのパートナーシップ制度調べ)。今年5月に実施した藤沢市パートナーシップ宣誓制度を利用した方のアンケートでも「ファミリーシップ制度になるとよりよい」との声が寄せられています。そうした当事者の声に寄り添い、多様な家族の形に応えるためにファミリーシップ制度への発展的な充実を求めました。企画政策部長からは「当事者の暮らしやすさの視点に立った課題整理を進めていく」と答弁がありました。多様な家族の形に応える制度の充実を引き続き求めていきたいと思います。

事実婚の住民票の記載変更、対応見直しへ

藤沢市のパートナーシップ宣誓制度は事実婚の異性カップルも対象としています。事実婚では2人の関係を公的に証明する手段の一つとして2人の住民票を同一にする届出を行うのが一般的です。どちらかが「世帯主」になりもう一方は「妻(未届)/夫(未届)」と記載します。ところが市内で事実婚を選択されている方から世帯合併の手続きをするために必要な書類を念のため確認しておこうと事前に市役所に電話をしたところ、「婚姻届を出す予定がないのであれば、『妻(未届)/夫(未届)』のような記載はできない」と言われたと訴えが私のもとに寄せられました。

当事者の方は「婚姻の意思はあり事実婚契約書を締結し事実婚をしたいこと」、「選択的夫婦別姓が認められればすぐにでも婚姻届を出したいが、今はいつ認められるかわからないため出せないこと」を伝えると、市の担当者は「婚姻届を具体的に近い将来出す人であればそれまでの期間、妻(未届)/夫(未届)という記載にしておくことは可能だが、現状別姓では婚姻届を出せないため、具体的な日にちが定められないことになり、そのような記載はできない」と話したそうです。

つまり、「選択的夫婦別姓が認められればすぐにでも婚姻届を出したいが今はいつ認められるかわからないため出せないこと」が「婚姻届を受理することができない条件が前提にあるとき」とみなされてしまったわけです。当事者の方が記載の変更ができない理由を尋ねても「市の解釈としては先ほどからお伝えしている通り」「年金などの手続きなどがあることは承知しているが、市内の手続きは『同居人』という記載で事足りるためそれ以上のことは想定していない」と言われるのみで納得のいく回答は帰ってきませんでした。これらの一連の対応が当事者の方を深く落胆させることとなってしまいました。

そもそも住民基本台帳事務処理要領においては「内縁の夫婦は、法律上の夫婦ではないが準婚として各種の社会保障の面では法律上の夫婦と同じ取扱いを受けているので「夫(未届)、妻(未届)」と記載する」とあります。また内閣府男女共同参画局総務課調査室が令和3年に実施した研究会での資料にも、事実婚の場合、住民票の記載は「妻(未届)/夫(未届)」とすることと述べられています。一般質問ではこのことを示して、パートナーシップ宣誓制度の趣旨に鑑み、事実婚の住民票の記載変更について柔軟に認めるべきと訴えました。市民自治部長からは「本市におけるパートナーシップ宣誓制度の趣旨等を踏まえ、婚姻届を提出する予定がない事実婚の方々についても、「夫(未届)」又は「妻(未届)」との記載を行っていくよう、対応を見直していく」と答弁がありました。

今回当事者の方が声をあげてくださったからこそ、私自身も当事者にしか見えない壁があることを知りました。選択的夫婦別姓制度の導入や同性婚の実現など、一人ひとりの個人の尊厳を守る政治の役割が問われていると痛感しています。これからも多くのみなさんと手を携えて誰もが自分らしく生きられる街ふじさわを目指して取り組んでいきたいと思います。

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